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2013年8月31日 (土)

本・中東 新秩序の形成―「アラブの春」を超えて・山内 昌之

2011年のアラブ諸国を覆った民衆運動は、「自由・法の支配・豊かさ」 への普遍的な欲求から生まれた。好調に見えた民主化はバーレーンで頓挫し、シリアで膠着する。
なぜかここには中東の政治力学が垣間見えている。デモを弾圧しながら大国化の一途をたどるイランと、民衆を手なずけて王制を維持する湾岸諸国との対立があり、イランの核開発に憤るイスラエルと、手を焼くアメリカがいる。イラク戦争を経た諸国の社会情勢を丹念に追い、生成しつつある勢力構図をあざやかに描き出す。

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2012年に2月発行である。
アラブの春がある。
著者には豊富な知識がある。アラブ各国の情勢を記述している。
アラブの春は、アラブの冬になりかねない。イスラエルがそう思っているようだ・・・・・・
はじめに、シリアこそ 「アラブの春」 の将来と中東の新秩序のカギを握る国とある。
現在の情勢はその通りだと思う。
シリアはイスラム史最初の王朝国家・ウマイヤ朝以来の歴史と伝統を持ち、大国ではないが存在感のある国である。
サウジアラビアなどの君主制国家で人民蜂起やデモが少ないのは、恐怖や抑圧が効果をあげているのではない。
市民には民生や所得でそこそこの満足感があるからと言う。
となれば、エジプトの混乱は、市民が思うような改革になっていないからではないか?

著者が分類している。
平和的体制改革、チェニジア、エジプト
暴力的体制改革、リビヤ、シリア、イエメン
バーレーンは、シーア派の平和的体制改革から急進分子の君主制否定の暴力革命に逸脱した事例と言う。

アラブの人口の増加がある。
若い世代が多い。日本と逆である。エジプトでは2009年時点の15歳未満の人口は32%と言う。日本は13%!
1970年に1億9千万、現在で5億人、2020年には6億人になると言われている。
世界人口でムスリム市民は1/3を占めると言う。
この人口の働く場所は何処にあるのか?
それより水が足りるのか?そちらの方が問題では無いかと思うが・・・・・・
不満人口の捌け口。
4人息子がいれば、2人はなんとか働ける。
が残りの2人は、国外移住・犯罪・国内クーデター・内戦または革命・集団殺害と追放・越境戦争の6つしかないと言う。
テロ予備軍になる!

各国の分析がある。
チェニジア、
エジプト、
リビア、
シリア、
イエメン、
バーレーン、
オマーン、
サウジアラビア、
GCC(湾岸協力機構)にヨルダンとモロッコを参加させる。
両国の武力に期待しているようだ。
著者は理解しているだろうが、普通の人には分からないだろう・・・・・

そして中東の大国、イランとトルコがある。
どちらも非アラブである。
両国とも軍事力はある。
イランのアフマディネジット大統領、現在は一応引退している。
トルコのエルドアン首相、トルコも現在はデモ隊と衝突している。
その内情が記述されている。単純なものではない。
イランの宗教者の世俗利権と金への執念は凄いと言う。その失地回復への執念も相当なものと言う!
シリアが崩壊すれば、イランへの影響は大きい。
トルコのネオ・イスラーム政策と、ネオ・オスマン政策を結合させた、新オスマン外交!
よく分からないが、トルコの利益になるのだろう。
この両国についてはページを割いている!

グローバル中東の政治学。
イスラエル関係の本を読むならイスラエルだけなので分かり易い。イスラエルから見ていればよい。
著者は全体を見渡す。
パレスチナ問題。問題を作ったのはパレスチナの人では無い。
大国の思惑がある。
ガサ地区。読めばイスラエルもやり過ぎではないのかと思ってしまう。
ガザ地区に住むパレスチナ人の平均年齢は、16、7歳と言う。いびつである。テロ予備軍か?
アラブのキーワード。
アラブ対イスラエル。イランが影を落とすスンナ派対シーア派。スンナ派アラブの支配エリートにとっての、テロとの戦いにおける穏健派対テロ勢力。
これにアラブの春、市民対独裁者・軍部の対立が加わる。

読めば読むほど複雑になり、利害関係が分からなくなる。

これに日本の中東戦略のあり方がある。
日本の生命線、ペルシャ湾とホルムズ海峡!
地図で改めてみた。
東のほとんどを占めるイラン。西側のサウジアラビア。
イラク・クウェート・バーレーン・カタール・アラブ首長国連邦・オマーン。
このオマーンは重要と言う。
が日本の首相は行かない。
著者は、鳩山・管元両総理に、憎しみを感じているのではないかと思ってしまう!
日本は中東に負の遺産は無いと言う。(韓国もだと思うが)
日本の美徳と長所は、中東世論の対日好感度や身内の交流に満足せずに、国家戦略レベルに生かされなくてはならないと言う。
安倍総理になり変わって来ていると思うが・・・・・・
給油活動を行う事により、危険地域への派遣を免れれていたのに、原則論?にこだわって信頼を失う!
かと言って派遣する気は無い。

トルコ人やイラン人は政権交代を可能な政治的手段で求めて来たが、アラブ人は政府を無視して、それを合法的に代替するパラレルな構造をつくる事に満足して来た。
何か今の情勢そのままと言う感じがするが・・・・
最後のアラブについては、何度も読み返さなければ、私メの頭では理解できていない。

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中東 新秩序の形成―「アラブの春」を超えて・山内昌之

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